信義誠実の原則


民法一条二項に掲げられている原則です。信義則ともいいます。
一般に、相手方の期待に沿うように、他方行為者は行動すべきだ、というような意味です。
なんともあいまいな原則ですね。しかしこれが民法上ではよく顔を出します。

一番顕著なのが、法律をそのまま適応した場合に、不当な結果が生じてしまう時などです。
よく言われる法の抜け道ですね。
そのようなことになったら、信義則が顔を出します。
そして、「それは信義則に反する」と言って、多少強引な解釈で他の結果を出すのです。
法の矛盾を柔軟にカバーする役割とでも言いましょうか。

逆に言えば、そんなものを準備しないといけないほど、民法は穴だらけという解釈も出来ます。

民法は、人同士の利害の対立を調整する法律です。
だから、民法が登場する時点で、自分の期待と相手の期待は対立しているのです。
それなのに、相手方の期待に沿うように行動しようという原則がある、矛盾を感じます。
信義則は構造的欠陥のような気がします。

法の抜け穴を攻めてこられた場合、信義則は守ってくれるのでしょうか。
僕は勉強してるだけなのでえらそうなことを言う資格はありません。
でも、おそらく守ってくれないでしょう。

やはり法による攻撃を防ぐのは法なのです。
法律は山ほどあります。目を皿にして探せばきっと反撃できる条文があります。
それをもって反撃するしかないと思います。

しかし、また逆に言えば、攻撃に使える条文も探せば山のようにあるでしょう。
こんな感じで法律合戦が始まっちゃうんだろうな、と思います。

だから、敏腕弁護士が儲かる社会になってるんですね。


こんなかんじで、信義則をこけ下ろしましたけど、個人的には好きなんです。

だって、信義にのっとって行動する、なんて、いい感じじゃないですか。
表面上の原則に成り下がったとしても、民法にかける思いがそこに残ってるような気がして、
なんだかうれしくなっちゃいます。

信義則は、法律家の心にしまっておくだけでも、十分な気がします。



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