なぜ、連帯保証人になってはいけないのか?


「いくら親友でも、連帯保証人だけはなっちゃ駄目よ」

うちのオカンが昔僕に言った台詞です。
多くの方はこの手の台詞を耳にしたことがあると思います。

ドラマでありがちな、親友に裏切られて借金を抱え込んでしまう、とかいう展開ですね。
んで、最後には自殺オア心中。悲しすぎます。金ってほんとに怖いです。
そんな連帯保証人について、掘り下げてみます。

そもそも、保証人とはナンでしょう?
ぐぐってもいいんですが、ここはまじめに法律辞典を引きます。

■保証人
主たる債務者が履行しない場合に、主たる債務者と同一の債務を履行しなければならない人。

わけわかんざき、ですね。具体例を出してみます。

健史君が事業に手を出して、借金まみれになりました。
銀行から借金した時の保証人は輝彦君でした。
健史くんが返済しないでいた場合、銀行は輝彦君に返済を請求することが出来るのです。

しかし、いくら輝彦君が5000万円持ってるとはいえ、むげに毟り取られるのは納得いきません。
そこで、保証人には 「まず健史から返済してもらえYO」 といって、銀行に抵抗する権利が認められます。(催告の抗弁権、検索の抗弁権)

では、改めて、連帯保証人とは何か調べて見ます。

■連帯保証人
債務者と連帯して保証債務を負担する人。連帯保証人には催告の抗弁権、検索の抗弁権は認められない

恐ろしさが分かると思います。
輝彦君は銀行からの催告に抵抗できないのです。
最近の保障制度がほとんど連帯保証を導入している一因です。債権者つまり銀行にとって非常に都合がいいのです。







……次に、通常の保障(単純保障)と連帯保証の違いで大きなものは、「分別の利益」が認められないことです。

まずは単純保障から例を挙げてみます。

健史君が銀行から5000万円借りて、保証人が輝彦君、良美さんの2人だったとします。
保証人が複数いる場合は、補償額は頭割り、つまり2500万円ずつとなります。

もし、健史君が良美さんを連れて夜逃げした場合、悲しいかな輝彦君に弁済義務が回ってくるのですが、
輝彦君が負担するのは2500万円まででいいのです。全額負担することはありません。
二人が捕まらない以上、銀行が泥を被るわけですね。以上が単純保障のケースです。

これが、連帯保証の場合は、こうなります。

連帯保証の場合は、頭割りで補償額を分割することはありません、全員が全額を負担します。
二人が夜逃げしてしまったら、輝彦君は5000万円を負担してしまうことになるのです。
つまり、保証人がドロンしても、銀行側のリスクが極めて小さくなるのです。
保証人が残っている限りは、泥を被ることはないのです。これも銀行側に有利ですね。

こんなケースになるのは稀かもしれませんが、憶えていると万一の時役に立つかもしれません。


最後に、蛇足ですが、未成年者の保証人になるケースを紹介します。

未成年者は法的に強く保護されています。
たとえば何らかの契約をしても、未成年者であることを理由に、
さっぱり契約をなかったことにするなんてことも法的に可能なのです。
これでは契約相手が不憫です。

そこで、未成年者の保証人は、契約が無効化されたとしても、
未成年者の代わりに債務を負担しないといけないことになりました。
これは、単純と連帯で違いはありません。

未成年の保証人になる際は注意してください。




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