くしゃみ、鼻水、鼻づまり         雑文へ      トップ


くしゃみ、鼻水、鼻づまり。
鼻炎というのは本当に困り者だ。

毎年、冬から春にかけて、花粉症対策グッズのCMが溢れかえるのは
皆様もご存知だと思います。
花粉症はもはや国民病です。
僕も例に漏れず、花粉症を患ってます。
ついでに、頻尿も持ってます。

脱線しちゃいましょう。

頻尿ってホント困りもんです。

僕の頻尿暦は長く、高校三年にはもう頻尿でした。
授業中に「先生トイレ行きます」とか言う羞恥プレイにも慣れたもんです。

授業中はまだいいんです。
大学入試二次試験中に来た尿意には殺意を覚えました。
この局面だからこそ来たともいえますが、あまりの仕打ち。
貴重な数分をションベンごときでロスするなんて……

殺気立つ会場で俺は手を上げ、
「トイレ行ってもいいですか」
なぜか会場の雰囲気を和ませてしまった。

で、トイレで放尿。
そのトイレの汚いこと汚いこと。
元は白かったんだろうタイルは、全部くすんだ灰色に。
窓のすりガラスには、くもの巣が張ってて、そこにはさらに綿ぼこリがへばりついていました。
この大学大丈夫かな…… と心配した記憶があります。

研究室時代も頻尿でした。

コーヒー大好きだったというのもありますが、俺のトイレ回数は文字通り桁が違いました。
ゼミでみんなが集まっている時も、俺はトイレに行くために、
重厚な扉をバッタンバッタン開け閉めしては、ドーンと音を響かせ、
ゼミの邪魔をしてました。あの扉だけ何で金属製だったんだろう?

会社員時代も頻尿でした。

会議がよくあって、研究成果を報告するのですが、
その会議室の配置が、まるで円陣のようになっていて、
誰からもお互いをよく見ることができたんです。

そんな中、トイレにこそこそ行くのは、かなーり恥ずかしかったです。
課長にトイレでばったり会ったとき、
「トイレよく行ってるなw」
とか言われた時は、引きこもろうかと思いました。
会議室をペンタンか何かで吹っ飛ばそうかと一瞬考えました。

あと、会社は学校と違って、年が離れた人が多くいて、
その分、頻尿率が高いんでしょうね、
トイレ常連の面子ってのが分かっちゃうんですw

その人に会うと、お互い微妙な笑みを浮かべて
並んで放尿、哀愁漂います。

杉田君や駒沢君とドライブに行った時も、
高速道路のPAが見えるたびに、車を止めてもらってました。

頻尿って、ホント困りもんです。


おっと、何の話をしてたんだっけ、そうだ、花粉症だ。


僕が花粉症を発症したのは、小学校の5年くらいかと思います。

授業中は鼻水が垂れないように上を向いてました。
首が痛かったです。
中学ではさらに悪化、授業中も授業どころじゃない。
まあ、花粉症でなくても多分寝てたと思いますが。
結局その日の鼻水が枯渇するまで耐えまくるしかないのです。
オナニーでもしたのかと思うくらい、ティッシュを消費しましたね。

この時期に、僕は鼻水対策技を編み出しました。
それが、頬杖をついてそっぽむき、と、机に塞ぎこんで顔だけ横に向ける、という方法です。

こうすると、鼻腔がいい具合に上を向き、かつ首もそんなに痛くない。
画期的発見でした。
問題点は、いかにもやる気なさそうに見えることなのですが、
中学でも僕はある意味見放された生徒だったので、
授業の間、頬杖つこうが、そっぽ向こうが、うつ伏せになろうが、
しかられることはありませんでした。
こうやって僕は、花粉の時期を乗り越えました。

花粉症の最も困った点は、春にやってくることです。
春といえば受験シーズン。
そんな時期に花粉は舞い散ります。
僕は参考書片手に汗と鼻水を垂らし勉強しました。

高校入試の日は、最悪の天気、快晴。
爆発的に舞う花粉に頭は朦朧とし、鼻水はとめどなく流れる。
正直、入試どころじゃないが、そんなこといっていられない。
カンニングと思われないように注意しつつそっぽ向き、
頬杖をついて、なんとか問題と鼻水を相手にしてました。死にそうでした。
花粉症を擬人化して殺したかったくらいです。

高校に入ると、僕は科学的に花粉症を知りたくなりました。
いろいろ調べた結果、鼻粘膜に異種セルロース(花粉)が取り付くと、
免疫機能がこれを異物と判断し、抗原抗体反応を起こして、
結果として鼻粘膜が炎症を起こす、ということが分かりました。

しかも、驚くべきことに、体の中に寄生虫を飼っていた場合、
免疫機能は花粉の相手をする余裕がなくなるらしく、
花粉症が治る、ということまで分かりました。

さすがにサナダムシを飲み込む勇気はなかったです。

こんな経緯で、生態の馬鹿っぽさに魅力を感じ、
2年になったとき僕は理科選択で生物を選択したのでした。

そしたらその生物の先生が、もう可愛いこと可愛いこと。
一瞬で惚れましたw

30代なのに童顔で、目は大きめで、いつもは眠そうなのに目力が少し灯っている。
髪は肩くらいまでの長さで、さらっさらのストレート。
若干えらの張った顔立ちだけど全然気にならない。
なのに本人は気にしているのか、サイドにシャギーをかけてて、これがマジかわいい。
白衣と髪をなびかせて颯爽と歩く姿は、俺の心を鷲掴みしました。
本を読む時は下を向いて、シャギーを耳にかき上げるんですが、そのしぐさが、また、俺の煩悩をくすぐるんです。
で、時間が経つとシャギーが、ぱらっと耳から解け落ちてくるのがキレイでキレイで。

いかん、暴走してきた、先生の賛美はここまで。


当然野郎からの人気は絶大、裏表のない性格をしていたので女子の信頼も厚い。
鉄壁女教師でした。副担任だったのが悔やまれて仕方ない。
結婚して二児の母だったけど関係ない。
先生で抜いた回数は三桁は軽く超えています。

生物の教科書を買いに先生のところに行ったときです。
僕が1034円? くらいの代金に対し、1054円を渡して、
「20円の釣りください」といったら、
先生は笑って、「主婦か、お前は」と言いました。(少し男口調、そこがまたいい)

○○か、お前は。というフレーズが僕の口癖になったのはこのときでした。
そのくらいの影響力を持った先生でした。

単細胞な俺は、先生の気を引くため、生物を必死に勉強しました。
生物だけはいつも学年で上位でした。
数学と化学は目も当てられない状況でした・・・ワーストテンに入ったこともあります。
でも、生物はいつも90点以上でした。煩悩って怖いw

そんなある日、懲りずに先生にかまってもらうため、
分からないところをわざわざ探したうえで、質問をしに職員室に行きました。
俺が職員室に行くのは、先生に会いに行くか、担任の呼び出しで怒られるかしかありません。

そのとき先生がこんなことを言いました。

「あんたさ、意外と真面目に私の授業受けてるよね。課題も絶対してくるし」
「意外ってw、どう意外なんですか?」

心当たりは山ほどあります。数学、日本史での居眠り、英語の課題を全く提出しない、
おまけに補習はブッチする。遅刻の数は数え切れない。
数々の不真面目な行いが先生の耳に入っていても、全く不思議じゃないです。

「最初はなんてふてぶてしい奴だ、と思ってたけどさ」
「……? 最初の授業ですか?」

ありえん、もうその時はベタぼれだったから、そんな態度はとらないはずだ。

「違う。入学試験だよ」
完全に意味不明。

「あんたの教室の試験監督、あたしだったんだ」
衝撃!!

「周りの奴らはそこそこ必死な顔してるのに、あんた1人スッゲーだるそーな顔してたし、
入学試験なのに緊張感のかけらもない面してさ」

花粉症で朦朧としてたのを見られたのか。そもそもこんな可愛い人見逃すなんて、よっぽど朦朧としてたんだな。

「試験開始早々、頬杖ついてさ、ダルそうに猫背で解答用紙に向かって、
たらったら記入して、終わったらついに机で寝始めるし」

寝込んでたけど、横目で見直しはしてたんです、はい。

「こいつが落ちたら鼻で笑ってやろうと思って、こいつだけは憶えておこうと思ったんだ。
顔を憶えて、受験番号と名前を控えておいたんだよ。そしたら受かってやんの! あんなにやる気なさそうだったのに」

うわ、俺が先生に惚れる遥か前から、先生は俺のこと知ってたってこと?

「で、最初の生物の授業に行ってみたら、そいつ居るし、笑っちゃったよ、あたしゃ」
先生はニヤニヤ笑ってました。

俺は有頂天。
世の男の皆様なら分かるでしょうが、どんな些細な下らないことでも、
好きな人から特別扱いされると、うれしくなっちゃうんです。

「で、なんであの時あんなにやる気なかったんだ?」
「別に、ホントにただ単にやる気が起きなかっただけですよ」
世の男の皆様なら分かると思うんですが、好きな人の前だと、
ちょっとスカしたり、悪ぶってみたくなっちゃうんですよ。
花粉症でした、とか間違っても言いません。


こんな、ありそうでなさそうな、先生との思い出の一コマがあったんです。
俺はこのとき初めて、花粉症に感謝しました。


なお、頻尿でよかったと思ったことは、一度もありません。




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